医薬品のネット販売に関する最高裁判決について

対象となる判例:平成24年(行ヒ)大279号 医薬品ネット販売の権利確認等請求事件

平成25年1月11日 最高裁第二小法廷判決

1.事件の概要
新薬事法(平成18年)に基づく薬事法施行規則(平成21年)が第一類・二類の医薬品の郵便販売(ネット販売)を一律規制したことに対して、営業の自由を過度に制約するものであって無効だと、販売業者が争った事件

2.事件のポイント
厚生労働省が定めたネット販売の禁止が、憲法22条の職業の自由を制約する違法なものでないか、という点。今回の事件で問題となったのは、販売を規制しているのが薬事法という法律自身ではなく、その下に位置する「薬事法施行規則」であった点にある。後の判旨にも述べるように、最高裁はこの規則が薬事法にも違反していると述べている。

3.事件の背景
薬局距離制限判決と異なり、今回の事件は業者vs国という構図では無く、内閣と厚労省の考え方の対立にある。内閣は登録販売者はじめ、医薬品の販売の規制緩和に向かっているのに対して、厚労省は従来通り医薬品販売の安全面を重視して薬剤師等による対面販売を必須と考えた。そのため、答申や検討会議においても両者の対立は平行線だった。薬事法は国会で成立するため、内閣の方針に沿ったものとなり、施行規則は省庁が制定するため結果的に薬事法vs薬事法施行規則という形になってしまった。

4.判決のポイント
最高裁は、①ネット販売は相当に普及していること、②ネット販売の全面禁止に反対する意見が一般・専門家にも多かったこと、③ネット販売が対面販売より劣るとは言えないこと、④薬剤師が不在で薬品が販売されている現状、⑤それでも事故の報告はされていないこと、および⑥そもそも薬事法において対面販売が義務付けられているわけではないこと、⑦旧薬事法でもネット販売は禁止されていない上にその点が改正されてもいないなど、薬事法上に規制の根拠はないこと、を理由にネット販売の一律禁止は薬事法にも憲法22条にも違反して無効である、と判断した。

5.この判決のもたらす影響についての考察
今回の判決で、絶対的に規制をすべき医薬品についてまで必要以上に規制緩和が進む可能性がある(これは悪影響)ことは否めない。この判決が薬局調剤に何らかの影響を及ぼすか注視する必要はあると思われる。

平岩雅彦