平成22年度 学校環境衛生・薬事衛生研究協議会

平成22年12月2日(木)~3日(金)、国立オリンピック記念青少年総合センターにおいて、文部科学省、(財)日本学校保健会、(社)日本薬剤師会、日本学校薬剤師会の主催で、平成22年度学校環境衛生・薬事衛生研究協議会が開催された。今回、参加する機会を得ましたので報告致します。

一日目は、開会式に続いて講義が3題行われました。
講義Ⅰ 「学校環境衛生活動の充実について」
講師:文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課
健康教育企画室健康教育調査官 北垣 邦彦
講義Ⅱ 「ライフスキル形成を基礎とする喫煙、飲酒、薬物乱用防止教育」
講師:神戸大学大学院 教授 川畑 徹朗
特別講演 「アレルギーの基礎」
講師:岐阜保健短期大学 学長 永井 博弌

講義Ⅰにおいては、従来の「学校保健法」が「学校保健安全法」になったことにより、学校薬剤師の仕事が従来にも増して重要な位置におかれることになった。文部科学大臣が定める「学校環境衛生基準」により、
・学校の設置者は、学校環境衛生基準に照らしてその設置する学校の適切な環境の維持に努めなければならない。
・校長は、学校環境衛生基準に照らし、学校の環境衛生に関し適正を欠く事項があると認めた場合には、遅滞なく、その改善のために必要な措置を講じ、又は当該措置を講ずることができないときは、当該学校の設置者に対し、その旨を申し出るものとする。等と規定された。
学校環境衛生基準は、なかなか完全実施されていないのが実情であるらしいが、名古屋市学校薬剤師会においては、ほぼ完全実施が行われている。諸先輩方の努力に心から感謝申し上げる。

講義Ⅱでは、青少年期における6つの危険行動を抑制することが、現代の健康問題を解決する上で最優先課題であるとしている。
・故意または不慮の事故に関する行動
・喫煙
・飲酒及び薬物乱用
・望まない妊娠、HIVを含む性感染症に関係する性行動
・不健康な食生活
・運動不足
この6つの危険行動のうち4つまでが喫煙、飲酒、薬物乱用問題と直接あるいは間接的に関わっている。
古典的な喫煙、飲酒、薬物乱用防止教育としては、「知識中心型」あるいは「脅し型」の教育がなされてきたが、十分に効果が発揮できたとは言い難い面もある。
そこで1970年代になって、社会的要因への対処スキルの形成に焦点を当てたプログラムが開発された。このタイプのプログラムでは、喫煙、飲酒、薬物乱用の影響に関する知識を提供することに加えて、そうした行動を助長する社会的要因の影響に気付かせるとともに、宣伝・広告が伝えようとするメッセージを批判的に分析するスキルや、友人などからの圧力に対処するスキルの形成を目指した。その後の多くの研究によってこのプログラムは行動面における効果があることが示されている。
青少年期の彼らが喫煙、飲酒、薬物乱用などの危険行動を避けるために必要なことは、自分の価値や能力に対する自信(セルフエスティーム)を育て、日常生活の中で生じるストレスや不安、人間関係などの問題を、自分にとっても周囲の人々にとっても有益なやり方で解決するために有用な心理社会能力、すなわちライフスキルを形成することである。

名古屋市学校薬剤師会も、このライフスキル教育の考え方を早くから取り入れ、特にセルフエスティームの育成を中心に、薬剤師が話す「くすりのお話」運動を続けて来て、多方面から高い評価と応援をいただいている。

特別講演は、小生が40年以上前に岐阜薬科大学4年生で薬理学教室へ入った時、大学院2年生で指導して下さった大先輩の永井先生で、「アレルギーの基礎」を懐かしく拝聴しました。難し過ぎる専門的な話になると、少し困ることになるかも知れないと危惧しましたが、我々にとっても関心の深い分野を分かりやすく話され、流石だと敬服した次第です。

二日目は四つの分科会に分かれて研究発表と討議がなされました。
「学校環境衛生部会」「医薬品に関する教育部会」「喫煙、飲酒及び薬物乱用防止教育部会」「学校保健委員会部会」。小生は二つ目の「医薬品に関する教育部会」へ参加しました。
・「高等学校における医薬品に関する指導の実践」
鹿児島県立加治木高等学校 保健体育教諭 富岡 剛
・「学校薬剤師のくすりの授業~方法論の検討と今後の課題~」
栃木県学校薬剤師会 芳賀支部 支部長 山口 友也
指導助言者として、愛知県学校薬剤師会の村松会長がまとめをなさいました。
名古屋市学校薬剤師会の仕事が、レベルの高い良い仕事であると再確認致しました。

樋口光司