第61回 指定都市学校保健協議会

平成22年5月16日(日)第61回指定都市学校保健協議会へ参加する機会を得ましたので、報告致します。

学校保健協議会へ参加する指定都市も、今年は18市になりました。札幌、仙台、さいたま、千葉、川崎、横浜、新潟、静岡、浜松、名古屋、京都、大阪、堺、神戸、広島、岡山、北九州、福岡市です。
それらの都市の学校保健関係者、主に学校・医、歯科医、薬剤師、校長、養護教諭、教育委員会等々600名以上が参加して行われました。61回という歴史ある大会で、その年の当番に当たる都市の学校保健会と教育委員会が主催者になります。今回は大阪市学校保健会・教育委員会が主催で、大阪国際会議場に於いて開催されました。
現代のように、子供たちを取り巻く環境がめまぐるしく変化し多様化している時に、学校保健関係者が一堂に会して、研究発表や意見交換を行うことは、非常に重要なことと考えます。そんな大会に参加できたことをまず感謝申し上げます。

型どおりの式典の後、記念講演として「諦めなければ夢は叶う -陸上競技人生20年の軌跡― 」と題して朝原宣治氏のお話がありました。
続いて昼食の時間に、ランチョンセミナー「小児の脱水症と経口補水療法について」兵庫医科大学教授 服部 益治先生の講演がありました。
最近話題のノロウイルス等による、嘔吐下痢症などの対応にも、経口補水療法が有効である。発汗等で失われるのは、水分だけではなく体液と塩分が失われるのが問題で、いかに効率よく補給してあげるかを考えなくてはならない。病院へ行き点滴等で補給するまで行かなくても、まずは経口補水療法がかなり有効である、というお話でした。とても参考になりました。
続いて午後からは、四つの分科会に分かれての課題別協議会が行われました。小生は第一分科会「健康教育」へ参加しました。

第一分科会 「健康教育」 大阪国際会議場 会議室1004・1005

指導助言者  大阪教育大学 教授 白石 龍生
運営責任者  大阪府医師会 学校医 中谷 正晴
司 会 者  大阪市立加美南部小学校 校長 千葉 正雄
協議題 「生涯を通じて心身の健康を保持増進するための、健康教育の推進」
主 旨  子供たちが心身の健康課題を解決するために、自らの健康を保持増進できるようにする健康教育について協議する。
協議の視点
○ 子供たちの実態に応じた健康の保持増進のための保健指導のあり方
○ 学校・家庭・地域の連携・協力による健康教育の実践

口頭提言題及び提言者
1. 保健指導主任を中心とした感染症予防の取り組み
千葉市立稲浜小学校    教   諭  中川 好美

2. 子供の心を育てる保健室経営
~子供の意識を高める保健指導~
静岡市清水有度第二小学校  養護教諭   堀 直美

3. 心身ともに健康な児童の育成をめざして
~“からだ”を意識させる様々な取り組みを通して~
岡山市立福谷小学校     養護教諭   戸井 尚美

4. 自ら課題を解決し、すこやかに生きる子供の育成
~子供の実態に応じた支援の工夫を通して~
福岡市草ヶ江小学校    教   諭   休徳 一郎

5. 健康診断結果を生かした学校歯科保健の活動
学校歯科医   林 昭典

5題とも素晴らしい発表でした。
まず最初の中川先生のお話は、昨年度全国的に大問題となった、新型インフルエンザについてでした。毎年6月に市内の179校保健指導主任が一同に集まり研修会を開催している。研究テーマは「豊かな心をもち、心身ともに健康な児童生徒を育てるための保健指導はどのようにしたらよいだろうか。」を共通テーマに取り組んで来た。感染予防の取り組みは、「手洗い・うがい」の実践の徹底と、新型インフルエンザの正確な情報の伝達に努めた。最初は怖いものと伝わって来たが、その後、教育委員会からリアルに家庭まで届けられる情報が送られてきて、正確な情報を家庭まで連絡し続けた。正しい情報を送り続けることが、情報に混乱することなく、正しい知識の理解と実践に結びつき、感染予防に役立ったものと考える。というものでした。

堀先生は、ゲーム脳の写真を見せて、前頭葉(最も人間らしさに関係するところ)がゲーム中は全く働いていない。子供の心を育てる保健室経営を目指す者にとっては大きな問題である。夜遅くまでのゲームと朝食チェックで、ゲームの影響を関連付けて考える。まず自分で変えられる目標を一つ決めて実行に移す。と話された。現実に即した実践だと思います。
同じ様な取り組みが、戸井先生のところでも行われていました。普段当たり前のように感じている健康であるということについて意識させ、そして考える態度を身につけさせなければ、生涯を見据えたとき、健康を損なってしまうのではないか、との考えでさまざまな取り組みを行っています。その中の一つに、テレビ・ゲームとの付き合い方や心と体に与える影響を考えてチャレンジウイークを決めています。
家族ぐるみでテレビ・ゲームの時間を考え、見直してもらおうという取組。

チャレンジコース

「ねこ」(食事中テレビを消す)

「くま」(テレビ・ゲームの時間を決める)

「ぞう」(1日だけテレビ・ゲームにふれない生活をする)

3コースを設定し、事前にそれぞれの家族で話し合ってコースを選択し1週間チャレンジする。
チャレンジ後は保護者にも感想を書いてもらい、その後につなげてもらう。
とても良い取り組みだと思います。

休徳先生、それに学校歯科医の林先生の発表も素晴らしいものでした。最後に指導助言者の白石教授のお話がありました。
第一分科会の全体を通して、保健指導が円滑かつ有効に行われるには、キーパーソンが必要であり、発表では養護教諭の重要性が改めて認識された。発達段階に即した指導、男女相互理解を見据えた働きかけ、明確な子ども像、生活習慣の乱れ等々ポイントを押えた適切な指導がなされている。
今後の一番大切な課題としては、学校、地域、社会がトータル的に関与することが望まれる。そのためには、校長、養護教諭がパイプ役になる必要がある。学校薬剤師の関与が肝要で、薬物乱用防止教育等にゲストティーチャーとして参画することが欠かせない。と結ばれました。

名古屋市学校薬剤師会が常日頃行っていること、また目標としていることが間違っていないと改めて確信しました。皆さんと一緒に、より積極的に仕事を進めて行きたいと思います。

樋口光司