第18回 薬物乱用防止教育研修会

大学生や高校生まで大麻で逮捕されている昨今、マスコミ関係者等も大麻やMDMAなど合成麻薬の使用で話題に事欠かない現状です。この急激な若者を中心にした増加は新たな局面を迎えていると捉えるべきとも言えます。

このため、薬物乱用防止教育に関しては一層の強化徹底が求められています。

1 主催:  日本学校薬剤師会、 健康行動教育科学研究会

2 後援:  文部科学省、 厚生労働省、 (財)麻薬・覚せい剤乱用防止センター、

3 日時:  平成21年8月22日(土曜日)

9時50分から16時30分

4 場所:  国士舘大学世田谷キャンパス梅ヶ丘校舎 B201号

5 参加対象:学校薬剤師、学校医、教職員、教育委員会職員、PTA関係者、警察、     麻薬取締官、精神保健センター、保健所職員、等

9:50 開会式(挨拶) 日本学校薬剤師会会長            田中俊昭

国士舘大学学長               若林克彦

10:00 研究講演    現代における薬物乱用問題(大麻を中心として)

医療法人せのがわKONUMA記念広島薬物依存研究所

小沼杏坪

11:00 教育講演    青少年危険行動と行動変容を促す教育手法

財団法人日本学校保健会事務局次長

並木茂夫

13:00 基調講演    乱用される薬物と薬物乱用防止の動向

元厚生労働省関東信越厚生局麻薬取締部横浜分室長

浦上 厚

14:30 実践報告と意見交換 薬物乱用の根絶を目指してどのように取り組めばよいか

コーディネータ

医療法人せのがわKONUMA記念東京薬物乱用防止センター

原田幸男

実践報告者

広島市立鈴張小学校教頭

岡本弘文

さいたま市立大久保中学校教諭

大内葉子

東京都立青山高等学校教諭

松井賢一

学校における薬物乱用防止教室 八王子学校薬剤師会

高橋たつ子

16:25 閉会式    健康行動教育科学研究会会長

内藤昭三

小沼杏坪先生の話

大麻のヒトに対する急性効果を始め、動物実験でのカタレプシーの発現(背伸びした不自然な姿勢をいつまでも続ける)や攻撃性の発現(THCを腹腔に注射したマウスは攻撃性が増強され、仲間のマウスを噛み殺し、全部食べてしまう)等科学的に証明された事実を話され、その上で、現代の子どもたちのこころに関する精神医学的考察をされ、以下のような話をされた。

「青少年を取り巻く生活環境の変化」「群れ遊びがもたらすこどもへの影響」「二世代にわたる暖衣飽食の時代がもたらした子ども達のこころの変化」・・・

「自分が何をしたいのか、何が欲しいのか、わからない」こういう言葉が公の場で、あからさまに臆面も無く、ストレートに語られるようになった。・・・・現代は自分探しの

時代である。人生とは自分探しの道である。個性的であることへの過剰な志向を抱え込んで、それを実現できずに、不全感を抱え込んでいるのが現代人の実情ではないか。

現代の若者は自分自身の宗教・哲学を見出す命題を背負っている。 (諸富祥彦)

薬物を誘われたら、その人を説得するのはあきらめて、「そんなものはやらん!」と言ってその場を立ち去ること。

並木茂夫先生は、中学校での性の指導や薬物乱用防止教育の指導を通して、思春期の子どもたちがこれらの問題に対応しながら、健全で豊な人格を形成していくためには、学校教育において「生きる」ことの本質を捉えるための正しい知識を獲得することと、セルフエスティームに裏打ちされた、適切な意思決定や正しい行動選択ができる「心の能力」(ライフスキル)を獲得していくことが必要であると、強く話された。

逸脱した子どもをいくら指導してもダメで、一次予防を重要視した「こどもの心の土台」を作ることが急務である。「親のためのライフスキル講座」や「授業への保護者の参加」等を積極的に取り入れ、ロールプレイングやブレインストーミングを効果的に使った授業を展開され大きな効果を上げている。

浦上厚先生は、元麻薬Gメンとして活躍された。その現場での臨場感あふれる話で魅了された。

* 子どもたちの危険な誘惑の場所は

1位 コンビニエンスストア  2位 ゲームセンター  3位 カラオケ

* 誰から誘われたか

1位 友人  2位 先輩

誘われた時の断り方です。それは短い言葉で強い調子で明確に拒否の意志を示して下さい。例えば「薬はいやだ」「中毒になる」「廃人になる」「麻薬は怖い」「警察に捕まる」と思いつく限りの言葉で拒否の意志を示して下さい。それで相手が納得せず、危険な状態になった場合はもうその場から逃げ出すしかありません。明るい方へ、広い方へ、人声のする方へ。

実践報告と意見交換では、本当に素晴らしい実践が紹介されました。その根底に流れる考え方は、薬物乱用防止教育にはセルフエスティームやライフスキルを獲得していくことが欠かせない。それが薬物乱用防止だけではなく、「生きる」ことの基本になる。

新学習指導要領には、「・・・薬物乱用は、心身の健康や社会に深刻な影響を与えることから行ってはならないこと。それらの対策には、個人や社会環境への対策が必要であること。・・・薬物乱用については、疾病との関連、社会への影響などについて総合的に取扱い、薬物については、麻薬、覚せい剤、大麻等を扱うものとする。」とあります。

今後ますます学校現場から学校薬剤師に対して、薬の授業等へも参加要請が増えるものと思われます。学校薬剤師もライフスキル教育の考え方を勉強して、養護教諭等と十分な打ち合わせを行い、薬の正しい使い方等の授業に参画したいものです。

この研修会には、わざわざ国士舘大学の学長が挨拶にみえました。今回はお疲れ様会にも出席されて、皆さんと親しく意見交換をされました。小生も石川神戸大学教授と懇談出来、いろいろ有意義な研修会になりました。

樋口光司