第18回アルコール健康教育研修会・第17回薬物乱用防止教育研修会

平成20年8月23日(土)・24日(日)東京の国士舘大学世田谷キャンパスにおいて、日本学校薬剤師会、健康行動教育科学研究会等の主催で行われた研修会に参加する機会を与えられましたので報告致します。

 昨年は第16回 薬物乱用防止教育研修会において、シンポジストとして「薬剤師が話すくすりのお話」について発表させていただきました。多くの賛同や応援の声をいただきました。フロアーからは重い質問もいただきました。「貴方はタバコ・アルコール・薬物について話すとき、どんなスタンスで話をしますか?」(東邦大学医学部、今井常彦先生)というものです。今年はアルコールに関しても意欲的に取り組むつもりで参加しました。

 20年前には見向きもされなかったライフスキル教育も、10年程前からは特に健康教育には欠かせないものとなって来ました。小生も10年前に札幌の研修会で川畑先生の講義を受けてから、セルフエスティーム(健全な自尊心)を育むにはどうすれば良いのかを子ども達と一緒に考えながら模索を続けています。

「日常生活の中で生じる様々な問題や要求に対して、建設的かつ効果的に対処するために必要な心理社会的能力」あるいは「複雑で困難な課題に満ちた社会の中で成功し、直面する多くの問題を効果的に取り扱うのに必要とされる一般的な個人及び社会的スキル」と定義されるライフスキルが、とりわけ「生きる力」の「自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力」や「自らを律しつつ、他人とともに協調し、他人を思いやる心や感動する心など、豊かな人間性」に極めて近い概念とされているからです。学校薬剤師もライフスキル教育についてその概念やセルフエスティーム等を勉強しておく必要を強く感じました。

 未成年者の飲酒経験については、中学3年生男子では26.0%,女子で16.9%。高校3年生男子では53.1%,女子で36.1%。これを2010年には0%にするというのが健康日本21の目標値です。アンケートで一番問題とされるのは、アルコールを飲むキッカケが親に勧められてと親類に勧められてを合わせると全体の30%以上と、大人の認識不足が大きな引き金となっています。喫煙防止教育よりも飲酒防止教育の方がむずかしいと言われている原因なのかも知れません。

 青少年の6つの危険行動。①故意または不慮の事故に関する行動。②喫煙。③飲酒および薬物乱用。④望まない妊娠、HIVを含む性感染症に関する行動。⑤不健康な食生活。⑥運動不足。これらの危険行動は青少年期に形成され、次第に固定化される。また相互に関連性が高い。これらを未然に防止するには、ライフスキル教育、中でもセルフエスティームの形成が欠かせないと、ライフスキル教育の第一人者:川畑徹朗先生は力説されました。

 各シンポジストからは、いかに知識を理解させても、その知識をどのように行動に結びつけるかが問題で、そのための実践とその結果を発表されていました。

 「一斉授業・実験」「視聴覚機器利用」「ロールプレイング」「ケーススタディ」「ブレーンストーミング」「課題学習」などの授業形態による比較の発表もありました。

 現場の先生達からは、まず学校薬剤師が参加してくれることを強く望む声が多数ありました。薬剤師が子ども達に話す時の注意点や要求なども多く出されていました。

 一次予防を目的とする私達は、まず子ども達はタバコもアルコールも薬物もやっていないという大前提に立って話を進めること。専門用語を使わず、専門的なことを分かりやすく話すこと。欲張らずポイントを絞って簡潔に話すこと。感想文を書いてもらう時は、必ず無記名で書いてもらうと良い。等々たいへん為になる話が数多く、とても参考になる内容の充実した研修会でした。

 アルコール・タバコ・薬物を中学生に話す。その4・5年後には新入生歓迎コンパでイッキ飲みの洗礼を受ける。周りの人がアルコールを楽しんでいる現実に戸惑う。同列にゼッタイダメ!では矛盾が生じることは明らかです。話をする側として、「アルコールは子供はダメだけど、大人になってからも付き合い方が大切です。タバコ・薬物は絶対ダメです。」小生が話す時のスタンスです。

 二日間に渡る研修会の参加に、豪雨による新幹線の2時間遅れというおまけまで付いて、体力的にはかなり厳しい研修会になりました。

   樋口光司