小・中学校における薬物乱用防止教育の実例

平成19年6月

 日本の義務教育における「くすり教育」は、お粗末の一言に尽きる。この現状に対して日本学校薬剤師会は文部科学省に「小学校段階からくすりの正しい使い方」等を学習指導要領に明記するよう要望書を提出している。

 愛知県学校薬剤師会は、個々で対応していた「くすり教育」を会の仕事として、一定レベルをクリアーし、かつ誰でも使いこなせる資料を平成16年2月に作成した。各会員へ配布し教室へ出向いて「薬剤師が話すくすりのお話」をするよう協力を呼びかけている。

 薬剤師ならではの立場から、くすりの基本的知識をやさしく分かりやすく、そしてタバコ・薬物乱用防止まで幅広く話す。最大のポイントは、最終的に「ダメ!絶対ダメ!」と断ることができるには、自分自身を大切にする心がキチンと育まれなければならないことだ。

 小生は、受持ちの小学校6年生3クラスを各1時間づつ、中学校は2年生9クラスを一度に体育館で「くすりの話」を話している。中学校では、前半の1時間に保健委員の生徒によるロールプレイでタバコの誘いを中心に演じてもらい、後半の1時間で前半でのロールプレイの感想も含めて、薬剤師としての話をしている。

 健全な自尊心(セルフエスティーム)を育むには、子供たちに関与する多くの問題を解決して行かなければならない。乳幼児期からのメディアの接触等も重要な問題と考える。小・中学生ではゲーム・ネット・ケータイ等も周りがしっかりした考えを持って対処する必要がある。

 子供たちに薬物乱用防止を呼びかけながら、その親に対しても啓発していく必要もある。また、子供たちが親になった時の心得として、メディアとの付き合い方に注意を払ってもらいたいことも念を押しておきたい。

 一人が出来る範囲は限られたものだが、会員全員が取り組むとすれば、すばらしく大きな力になる。日本学校薬剤師会も学校薬剤師の仕事を保健管理だけでなく保健教育にも重点を置くよう指導している。

 今、ボランティアで教室へ出向き「薬剤師が話すくすりのお話」をしていることは、きっと子供たちの将来にワクチン効果として現れることを信じている。また、話した後に子供たちの感想文を読ませてもらうと、疲れも忘れる。とても充実した薬剤師としての生き甲斐さえも感じさせてくれることに心から感謝したい。

愛知県・名古屋市学校薬剤師会 樋口光司
(平成19年6月執筆。第16回薬物乱用防止教育研修会にて発表)