薬学教育6年制 いよいよスタート

                               樋 口 光 司

 平成16年6月に、薬学教育年限を6年に延長することが決定したとき、日本薬剤師会の中西会長は以下のように述べられています。

 「日本薬剤師会といたしましては、薬剤師が、他の医療関係者はもとより、広く国民から信頼される医療・保健衛生の担い手として、免許取得後直ちに実践の場において、自信を持ってその任務を果たすことができるように、長年にわたって薬学教育の改善を要望してまいりました。これまでの基礎薬学を中心とした教育内容に、医療薬学、特に、長期の実務実習を加え、医療人としての倫理観と、更なる高度の知識と技術を修得できるようにして欲しいということが私どもの要望の趣旨でありました。」「今回の法律改正は、我が国の医療や保健衛生の一層の向上に貢献できるものと確信しております。」

 「しかし、現在の薬学教育の場には、基本的に実務実習の施設がありません。関係各方面からのご支援をお願い致したいと考えます。・・・」

 「今後私達は、薬学生の実務実習の受け入れに全力を尽くします。実習を成功に導くことが、6年制延長を訴えて来た私達薬剤師会の責務と考えるからです。4年で卒業した現在の薬剤師に対しても、さらに生涯教育などを充実させる必要性を痛感しています。」

 「今回の薬学教育6年制決定は、薬剤師の資質向上の出発点と受け止めています。」

 日本薬学会、日本私立薬科大学協会、国公立大学薬学部長会議等が大変な努力で完成させた、「薬学教育モデル・コアカリキュラムおよび薬学教育実務実習・卒業実習カリキュラム」が、今回の法改正に大きく作用したと聞いております。

 それによると、6年制が目指す薬学教育は“医療人”としての薬剤師、それも質の高い薬剤師の養成である。その実現のため「医療薬学系科目」、「教養科目」、そして「実務実習」の3つの充実が柱となる。

 1番目の医療薬学は「ヒト」を対象とした薬物治療に関連する学問を身につけるものである。医薬分業の進展で薬剤師には医薬品の“知識”だけでなく、“いかに使うか”を提言することがもとめられるようになっている。2番目には第一線で患者と接する機会が増えたため、患者とのコミュニケーション能力の育成や人間を理解するための幅広い教養や倫理観が重視されている。そして、3番目としては6か月に及ぶ薬局、病院での実務実習によって、薬剤師に必要な種々の臨床知識を体験しながら学び、自らが問題を発見し解決していく能力を高めるような教育を一貫して行うことが、その底流にある、というものです。

 共立薬科大学の望月学長は「全学年を通じてヒューマニズムとは何かを学ばなくてはいけません。また、コミュニケーション能力の養成も急務です。患者さんに接するには、薬学が分かる前に“人間”を分からなくては意味がないからです。薬のプロとしてのコミュニケーション(ファーマシューティカルコミュニケーション)が求められるのです。」と話しています。

 先日、第一回認定実務実習指導薬剤師養成ワークショップin東海に参加させていただきました。ワークショップ参加と5講座の講習会参加が認定実務実習指導薬剤師になるための必要条件となります。二日間におよぶワークショップはかなりハードなスケジュールでした。このままの形で会員の先生方に参加をお願いするには無理なところがあるのかも知れませんが、研修センターへの申請には基本的にワークショップと講習会の参加は必要条件となります。そういう勉強をしてきた4年制の薬剤師が自身の経験も踏まえて6年制の学生を指導するわけですから、今後6年制で卒業してくる薬剤師は確かにレベルアップされてくることと思います。周りの医療関係者や国民もそう見るでしょう。

 私が一番言いたいことは、4年制の薬剤師は、今から頑張って認定実務実習指導薬剤師になろう!ということです。薬剤師の長い歴史の中での新たなスタートの機会と捉えたいと思います。現役の薬剤師のスキルアップが図られてこそ、6年制移行への意義が十分達せられ、国民に支持される薬剤師像が現実の物となると確信しております。

 愛知県薬剤師会としましては、出来るだけ参加しやすいワークショップ・講習会を考えていきたいと思っております。先生方の積極的な参加を心からお願い致します。

 (愛知県薬剤師会会報「薬苑」平成18年5月号に巻頭の辞として掲載)